2022年度東京農工大学工学部知能情報システム工学科編入体験記

2022(令和4)年度東京農工大学工学部知能情報システム工学科数理情報工学コースの編入試験を受験し、合格することができました!
受験者は33名、合格者9名で倍率は3.7倍でした。
友人によると今年は例年より受験者が少し多かったようです。

併願状況

高専での成績

高専によって試験の難易度等がかなり違うのであまり参考にはならないと思いますが、電子情報工学科で席次は15~17位、平均点は85±2くらいでした。
その他の実績はパソコン甲子園2019プログラミング部門本選出場、ICPC 2020 Asia Regional出場です。

受験までにやったこと

数学

編入数学過去問特訓を2周と、専攻科の過去問5年分、筑波の過去問10年分、農工大の過去問10年分を解きました。
農工の数学は毎年同じような問題が出るので過去問をとにかくやりました。ここのフォームで申請すると過去問へのリンクがもらえます。本当に感謝しています。
数学は1問が重いので、計算ミスができるだけなくなるように練習しました。また、本番では大ポカをやらかしそうな気がしたので、60分で全問解答して30分で見直しができるように時間に気を使いながら解くことを心がけました。
非斉次二階線型微分方程式は右辺が訳の分からない形になっている場合があるので、最終手段としてロンスキー行列を用いた解法についても練習しておきました。

英語

筑波の受験用にTOEICの勉強をしたのと、受験1ヶ月前からDuo3.0を2周して阿佐谷英語塾の長文問題を10問ほど解きました。
正直これでは不十分だと思います。長文問題は146問公開されているので万全を期すなら70問くらいやるべきだったと思います。

物理

配点も低かったのでそれほどやる気もなく、農工大の過去問を10年分と、友人と勉強をしていたときに一緒に解いた名工大の過去問3年分くらいしかやりませんでした。
変な問題が出れば解けないし、解ける問題が出れば解けるという感じだったので解ける問題が出ることを祈っていました。

専門

これも農工大の過去問を10年分と筑波の過去問を5年分やったくらいでした。
プログラミングの問題は競技プログラミングでさんざんコードを書いてきたので変な問題がでなければ大丈夫だろうと踏んでいて、2進数の計算や離散数学、デジタル回路はそこまで難しくなかったので過去問をやっているうちに思い出せました。

受験前日

新幹線はスマートEX早特21で予約しました。21日より前とかなり早いタイミングで予約しなければいけないのがネックですが、学割よりも安く2021年時点では最安値で新幹線の席を確保する手段です。

ホテルは農工大の最寄り駅東小金井駅から1駅の武蔵境駅前のホテルメッツ武蔵境を予約しました。かなりいいホテルです。僕が予約した部屋のテレビにHDMIケーブルがついていたのでPCをテレビに繋いでアニメを観ていました。
ホテルの近くにはマクドナルド、はなまるうどん、ガスト、松屋イトーヨーカドーなどがあり食事は外で取りました。朝食、昼食はイトーヨーカドーで購入し、夕食は松屋で食べました。松屋はたった80円でサラダもつけられるし、味噌汁はデフォルトでついてくるので最高です。松屋しか勝たん!

受験当日

1日目

大学で試験を受けるのは初めてだったので一応スーツで試験を受けに行ったのですが、周りがみんな私服でビックリしました。
一緒に受けた同じクラスの友人も私服だったので、事前に連絡取っておけばよかったかなと思いました。 試験開始時間が8:30とかなり早く寝坊しないかビクビクしていましたが普通に起きられました。

数学

大問1

いつも通り2変数関数の極値を求める問題でした。特に言うことはありませんが、計算ミスなしで突破できたのは良かったと思います。

大問2

かなりうろ覚えですが、1変数の積分が2問だったはずです。パッと見で面食らいましたが、落ち着いて式を分離することでよく見る形に帰着できるのでなんとかなりました。
見直ししたときに大変な間違いをしていることに気づいて[2]を解き直す羽目になってかなり焦りましたが、すぐに修正できました。

大問3

何度か見たことのある最小の固有値に属する(x,y,1)の形の固有ベクトルを求めよという問題だったはずです。
一度解き終わって解答を確認したときに固有値を求める時点で間違えていることに気づき、また解き直す羽目になりました。速攻で解き直して事無きを得ました。

大問4

いつもの非斉次二階線型微分方程式でした。右辺は特に難しくもなく推測できる形だったので楽勝〜〜〜と思って解いたのですが、見直してみると特性方程式の解を求める時点で間違えていたことに気づき、急いで直しました。この時点で試験終了5分までだったのでかなり焦って過呼吸になりながら解き直していたら、最後の条件に合う定数を求めるところで試験が終了してしまいました。


1問毎にはそれほど時間がかからなかったので見直しする時間を多く確保することができました。見直しができていなかったらマジで終わっていたので本当に良かったです。
大問4の最後だけが解き切れませんでしたが、それ以外は合っているはずなので部分点がつくと信じて9割という感じでした。

英語

大問1

イギリスの大学の入学者数には性差がなくなってきているが、受験する学科(?)は性差があり、実際にこのようなデータがある。みたいな感じの長文問題でした。
分量はA4片面程度でそれほど多くはないです。
[1]の日本語訳がうまくできなかった以外は多分できていたと思います。

大問2

通信制大学の歴史と実態、それがもたらすメリット。みたいな感じの長文問題でした。
分量はA4両面程度でした。
こっちの問題は全部選択式だったはずです。雰囲気で読んで雰囲気で解きました。大体合ってると思います。

大問3

最近はコロナのために多くの学校が遠隔授業をするようになったが、遠隔授業に対して対面授業のメリットを2つ英語で書けという問題でした。
リアルタイムで議論が活発にできることと、特別な機器が必要ないので困窮学生に優しいという旨の文章を本当に拙い英語で書きました。採点官の方、本当にごめんなさい......。


日本語訳と英作文が壊滅していたので体感6割よくて7割といった感じでした。

物理

なんかめちゃくちゃ難しかったです。

大問1

重心を原点に置いた木の棒に、重心から距離aの位置に棒に対して垂直に速度vでボールをぶつけたときの棒の運動についての問題でした。
本当に全然分からなかったので、頭が真っ白になりました。とりあえず反発係数と運動量保存の式だけ書いて後は白紙です。

大問2

[1]は面電荷密度βの半径aの薄い円盤の中心を貫くようにz軸をとったときのz>0の任意の点での電界と電位を求めよという問題でした。
最後の電位を求める積分が分からなかったのでそこだけ空欄でした。
[2]は覚えていませんが、すごく簡単な教科書レベルの問題だったと思います。


大問1で完璧に破滅したので体感5割くらいでした。

アンケート

試験が終わった後、面接を円滑に進めるためのアンケートに答えてくださいとGoogle FormのQRコードを渡されました。
本当にこれ通りに面接が進むのでちゃんと解答しましょう。聞かれる項目は
- 併願校
- 農工大をどのように知ったか
- やってみたい研究、配属を希望する研究室はあるか
- 説明会に参加したことはあるか
- 学科のWebページを見たことはあるか
- 博士(前期/後期)まで進学する予定はあるか
- コンテスト等の実績はあるか
というようなことでした。
特に合否には関係ないらしいですが、実績欄に何か書いた人は(おそらく)その話を振られるので変なことを聞かれたくない人は書いておくといいでしょう。

2日目

試験開始時間は9:30で1日目よりは余裕がありました。 面接があるためかこの日はみんなスーツでした。

専門

この年も大問1は必答、大問2,3から1問、大問4,5から1問選択という方式でした。

大問1

[1]はいつもどおり2進数の計算でした。
[2]は集合の演算の問題でした。対称差がなんなのか知りませんでしたが、演算子が⊕だったのでXORだろうと思って解きました。後で調べたら合ってました。

大問2

[1]は入力が4,5,7の倍数のときは1を、そうでないときは0を出力する4入力のデジタル回路を考える問題で、いつものように真理値表とカルノー図を埋めるだけでした。
[2]は1の累積カウントが2の倍数になったとき or 0の累積カウントが4の倍数になったときに1を、それ以外のときは0を出力する状態機械を考えるという問題でした。
(1)は出力が与えられて、それを出力するのような入力例を1つ答えよ。
(2)はこれの状態遷移図をミーリ形で書け。
という問題でした。
ミーリ形がなんなのかわかりませんでしたが、入出力を書けと書いてあったので、エッジに入出力を書いておきました。後で調べたら合ってました。

大問3

見てません。なんかめちゃくちゃめんどくさい電気回路の問題だったらしいです。

大問4

親の顔よりみたダイクストラ
グラフを隣接行列で書いて、一回手で実行してv1からv7の最短経路と重みを求めて、プログラムの穴を埋めるという問題でした。
例年よりかなり簡単だったと思います。

大問5

見てません。なんかすごく簡単な電磁気の問題だったらしいです。

わからない言葉が2つもできてきたので不安でしたが、あとで調べたら合っていたので10割です。

面接

この年は受験者が多かったので数理情報工学コースの受験者は二つのグループに分けられて、面接会場の控え室まで案内されました。
遠方からの受験者のほうがより早く面接に呼ばれるらしいです。 控え室では電子機器の使用の一切を禁じられるので、なにか紙の本を持っていくといいでしょう。
面接自体は3分くらいで終わりました。
会議室のような部屋に1人ずつ呼ばれて、入室してから受験番号と名前を言ってから席につきました。 面接官は2人でおそらく志望学科の教員だと思います。
最初に「試験はどうでしたか?」と試験の出来を聞かれました。 英語と物理は破滅していた感触があったので、「数学と専門はかなり手ごたえを感じていますが、英語と物理は全然できませんでした」と答えました。 「物理は難しかったですか?」とだけ聞き返されたので、おそらく試験の点数はこの時点で出ていたのではないかと思います。 次に「博士まで行くつもりはありますか?」と聞かれたので「修士までいくつもりではいますが、博士まで行く経済的な余裕はないので、今は博士まで行くつもりはありません」と返しました。 おそらく面接で聞きたいのはこの2つだけで、あとはコミュニケーション能力が欠如していないかとう社会性診断だと思います。
あとはアンケートの項目通りに1,2個質問をされただけでした。
実績欄にパソコン甲子園プログラミング本選出場とICPC Asia大会出場と書いたのでICPCの話は振られるかなと思って身構えていたのですが、 「パソコン甲子園って甲子園でやるんですか?」と聞かれて、なにかカマをかけられているのかと思いました。「会津大学が主催している高校生向けのコンテストで——」と答えると「ほー」という感じの返答をされたので、本当に知らなかったのだと思います。 面接が終わったらすぐ開放されました。一緒に受けた友人と話ながら駅まで戻って、その足でそのまま筑波に向かいました。東小金井から筑波まではまあまあ遠いので結構しんどかったです。

終わりに

英語と物理が破滅していたので落ちたと思っていたですが、受かっていて本当に嬉しいです。ここに落ちていたらおそらく全落ちだったので安心しました。
反省点としては英語と物理をもっと勉強しておくべきだったと思いました。特に英作文は本当に壊滅していたので英作文はやるべきでした。
農工大の数学は過去問だけやっておけばいいレベルなので、過去問特訓2周目の時間を英語と物理に当てるべきでした。
以前、教員に「得意科目をいくら勉強しても満点より高い点数は取れないから苦手を潰す勉強をしたほうがいい」と言われたのですが、本当にそうだと思います。
今大学編入の勉強をしている方は、得意科目の勉強はほどほどにして、早めにそれ以外の科目の勉強をしましょう。
入学意思確認書の提出が7/30(金)までだったので東工大などを受ける方は気を付けてください。